第15章 慰め
不機嫌になった香坂さん可愛いんだけど。
僕はあえて彼女を待たせようとゆっくり着替えた。
「ちょっとー!月島くんが一緒に帰ろうって言ってきたくせにいつまで待たせるのよ!」
のんびり歩いて来たら香坂さんに急かされてしまった。
「……早いですね。そんなに僕と一緒に帰るの楽しみだったんデスカー?」
「…………。」
あ、怒ってる。
僕は無言で香坂さんに睨まれてしまった。
「そんなに睨まなで下さいヨ。じゃあ帰りましょうか。」
僕は香坂さんと並んで歩く。
彼女は話してくれる気配がない。
「……香坂さんさっきの話まだ終わってませんけど?如何わしい事じゃなければ話せますよね?」
「…………話せるけど月島くん…誰にも言わないって約束できる?」
「話の内容にもよりますけど。僕が面白がって人の話すると思いますか?」
彼女は否定するように首を横に振った。
「あのね…私あの日…烏養さん達の部屋でビール飲んでたの。」
「はぁ?烏養コーチにビール飲まされたんですか!?」
予想もしてない彼女の言葉に僕は呆気に取らてしまった。
「……違う、勝手に私が飲んだの。
この間彼氏に振られちゃってお酒飲んだら忘れられるかなって思って。でも結局烏養さんに迷惑かけてしまったんだと思う。」
「……要するに寂しくて烏養コーチに慰めて貰おうとしたんですね?酒の力を使って。」
「…………。」
図星だったのか黙ってしまった香坂さん。
多分烏養コーチは彼女には手を出してないと思う。彼女が高校生だと自覚してるから。
僕は香坂さんの右手をそっと握った。
「……そんな事しなくても僕に言ってくれればすぐに慰めてあげたのに……寂しいんでしょ?」
彼女は俯きながらコクンと頷いた。
「じゃあお酒飲んでた事黙っておくので
条件出しても良いですか?」
「…………条件?」
「12月24日何も予定入れないで下さい。
その日一日中付き合ってあげますから。」
「うん、月島くんありがとう。期待してるね。」
「……任して下さい。」
理緒さん覚悟しておいて下さいね。
絶対忘れられないクリスマスイブにしてあげますよ。
もちろん僕の事もね。