第9章 ヤキモチ
「ちょっと飛雄くん!何で断ったのよ!」
理緒は不服そうにしながら俺に訴える。
「………着替えたらここに戻ってこい。」
「え、あの飛雄くん?答えになってないんだけど。」
俺は彼女の言葉も無視するように部室へ戻った。
着替えて体育館前で彼女を待つ。
待ってる間俺の事なんて無視して先輩達と帰っていたらどうしようかと正直不安だった。
「飛雄くんお待たせ~。」
「……帰るぞ。」
彼女がやって来て安心したが
まだイライラしていた俺は理緒の歩幅にも合わせずさっさと歩いた。
「飛雄くん歩くの速いから!」
理緒はタタッと駆け寄って俺の腕にしがみついた。
「飛雄くん何か怒ってるでしょ?」
「……別に。」
「怒ってるもん!眉間に皺寄せてる!」
そう言って理緒は俺の両頬を触り
上下に動かした。
「!!にゃにをする!」(何をする!)
「何ってマッサージだよ?少しは笑ってよ!」
俺は理緒の手首を掴み頬のマッサージを止めさせた。
「……俺が今日機嫌悪い原因わかるか?」
「わかんないよ。何で機嫌が悪いの?」
「…………原因はお前。先輩達にチヤホヤされてた理緒にイライラしてた。」
「えっ!飛雄くんヤキモチ妬いてたの?
……だからさっき勝手に断ったのかぁ。
フフっ飛雄くん可愛い!!」
「……うっせぇ!」
俺は理緒に可愛いなんて言われて恥ずかしさのあまりそっぽを向いた。
「飛雄くんごめんね!でも私が好きなのは
飛雄くん貴方だけだよ!」
理緒は俺の頬にキスしてくれた。
その言葉を聞いただけでチヤホヤされている理緒を少しだけ目をつぶってやろうと思った俺は単純なんだろうか。
可愛くて甘え上手な彼女。
俺が機嫌悪くしたらまたその言葉聞かせてくれよな?