第9章 ヤキモチ
夕方部活前
眠かった授業から解放され最高な気分のまま部活に参加出来ると思っていた。
「飛雄くーん!だーれだ!」
声と共に突然視界が遮られ目隠しされた。
俺の事を飛雄くんなんて言う奴は彼女しか居ない。
「理緒だろ。」
俺の声と共に目隠しが外された。
「ブッブー!残念でしたー!」
目の前には彼女の理緒。
「正解は俺でした!」
振り向くとニシシと笑っていた日向だった。
「イエーイ!影山引っ掛かった!」
「大成功だったね!!」
理緒と日向がハイタッチをしていた。
ハイタッチなんかしてんじゃねぇ!
「テメェ日向ボケ!」
俺は日向の頭を叩いた。
「痛てぇ!影山何すんだよ!暴力反対!」
「日向くん大丈夫?飛雄くん叩いちゃ駄目だよ!」
理緒は日向の叩かれた頭を心配そうにさすっていた。
チッ、日向の野郎デレデレしやがって!
俺は日向を睨んで一人部室へ向かった。
俺の彼女でもある理緒は俺より1つ年上で男子バレー部のマネージャー。
付き合ってもうすぐ2ヶ月。
少し鈍臭いけど可愛くて甘え上手な彼女。
しかし彼女は誰にでも愛想がいいから俺は気が気でならない。
今日はいつもより理緒の周りに集まりすぎじゃねぇか?
楽しそうに理緒と話をする菅原さん。
何か手伝いをして理緒の頭を撫でていた旭さん。
理緒とじゃれあっていた田中さんと西谷さん。
理緒にちょっかい出していた月島。
どれも俺をイラつかせる原因だった。
しまいにはテーピングをしてもらっている
大地さんにさえ腹が立った。
よって俺は理緒ばかりに目がいって
今日は調子が悪かった。
部活終了後
菅原さんが理緒に声を掛けていた。
「香坂~。大地がみんなに肉まん奢ってくれるって!」
「やったー!行きー」
「理緒は行きません!」
俺は理緒の返事を遮るように誘いを断った。
「行かないの?影山は?」
「すんません。俺も今日はパスします。」
「おー、わかった。大地には言っとくよ!
二人ともじゃあな!」
菅原さんはそう言って部室へ戻って行った。