第5章 誕生日SS
俺はすぐ彼女のそばに駆け寄った。
「……何で居るの?」
「京治を驚かせたかったから!部活だってわかってたから先輩達に協力して貰ったの!
ねぇ京治、ビックリした?」
なんだよそれ……
俺はずっと理緒の事気にしてたのに。
「……バカ野郎!!」
俺は思わず彼女に怒鳴り散らしてしまった。
「……ご、ごめんね……ケーキ作ったから
みんなで食べて」
理緒は明らかにシュンと落ち込み
俺にケーキを突き付け体育館を出ていった。
しまった!怒鳴るつもりは無かったのに。
「木兎さん!ケーキお願いします!」
「えっ!?おい!赤葦!!」
俺は木兎さんにケーキを預け理緒を追いかけた。
帰ってしまったと思っていた理緒は
体育館の外に座り込んでいた。
隣に座ると理緒は俯いたまま
俺の手を握ってきた。
「…京治?まだ怒ってる?」
「怒ってない、怒鳴って悪かった。
でも今朝理緒を機嫌損ねさせちまったと思って部活中ずっとその事で頭が一杯になってた。」
「……そうだったの?ごめんね、結果京治に心配かけさせちゃって……。」
「そんな事もうどうでもいい。今理緒が居るだけで俺は幸せだから。」
「私も幸せだよ。京治、17歳の誕生日おめでとう!ずっと一緒に居ようね!」
俺は理緒の言葉に応えるかのように
何度もキスを交わした。
――――――――――
二人の様子をこっそり覗いていたメンバー達。
木葉「くそ~、こんな所でイチャイチャすんなよな!」
小見「木葉ぁ、羨ましいからって妬くなよ~!」
猿杙「てかさ、木兎ケーキ勝手に喰ってんだけど。」
木兎「んあ?ケーキうめぇぞ!」
小見「うめぇぞじゃなくて勝手に喰っていいのかよ!」
木兎「理緒ちゃんみんなで食べてって言ってたじゃんかー!」
木・小・猿「確かに言ってた!じゃあ喰っちまおう!」
鷲尾(…………本当にいいんだろうか。)
理緒が作ったケーキはメンバーが
ペロリとたいらげ、戻ってきた赤葦が
がっかりと肩を落としたのは言うまでもない。