第4章 干物な彼女
「まぁいいや。俺もコタツに入れて。」
俺は理緒を後ろから抱き締め
彼女をだっこしながらコタツに入った。
理緒はテーブルに置いてあったミカンを剥いていた。
「たぁくん、あーんして?」
俺が口を開けると理緒はミカンを放り込んできた。
「……このミカン甘くてウマイな。」
「でしょ!甘いから食べ過ぎちゃうんだよね。」
「あんまり食べると手が黄色くなるぞ。」
「わかってるもん!ところでさ、たぁくんは
鎌先くんの事好き?嫌い?」
「……鎌先?同じバレー部だったあの鎌先の事か?」
「うん、そうそう!」
「まぁ、好きか嫌いかで言えば好きだよ。
同じ部活で汗を流した仲間だもんな。」
「フフッ……そっか、ならいいんだ!」
「理緒何でそんな事聞いたの?」
「聞きたいの~?じゃあ教えてあげる♪
たぁくんが攻めで鎌先くんが受けだったら
たぁくんの好物になるなって思って想像してたの!」
「……はぁ?」
「だからー。こうすれば………」
理緒は紙に何か書き始めた。
[笹谷×鎌先→笹×鎌→笹×かま=笹かま
]
「ねっ!たぁくんの好き笹かまになったでしょー!」
確かに…確かに俺は笹かまぼこが好きだけどさ。
「……理緒ちゃん?彼氏の俺までそんなフィルターで見ないで貰いたいんだけどな?」
俺は理緒にデコピンした。
「痛っ!えへへ、ごめんね!たぁくん大好きだから許して♪」
猫のようにスリスリと甘え抱き付いてくる
理緒に俺は何だって許してしまう。
こんなだらしない格好をしていても可愛いんだから仕方ない。
暫く抱き付いていた理緒から
スースーと寝息が聞こえる。
また寝ちまったの?
「……高校卒業したら一緒に住もうな。」
俺は寝ている彼女の額にキスを落とした。