第3章 刻を超えて
「貴様の相手はこの俺だろう?」
「信長!!」
突如、私の目の前に現れたのは黒い馬に乗っている武将。冷たく光る刀の刃先が男の喉元に突き付けられている。
た、助かったの?
「ふっ……残念だがお前の命運は尽きたぞ。この手にはすべての望みを叶えてくれる天女がいるからな」
「……天女?」
馬上から私を見据える瞳は、冷たい。
表情を少しも変えずに
「仏を捨てた貴様が天女に縋るとはな」
「お前を地獄に堕とせるのならば、なんにでも縋る」
「天女などに縋ったところでこの俺に勝てるわけなどないわ!!」
刀が宙を舞った瞬間、私は突き飛ばされてしまった。
地面に思いっきりお尻がぶつかって痛い
逃げなくちゃ!!
でも、一体どこへ?!
周りを見渡しても戦う人たちで溢れている。
手には刀や槍を持っているし、私が女だからって助かる保障はどこにもない……よね?
絶体絶命__
そんな言葉が頭をよぎる
夢の中とはいえ死にたくは無い
だって痛覚があるんだもん
刀で斬られたとしても即死じゃないよね?
苦しみながら死ぬなんてイヤだよ
「お前……こんな所で何をやってるんだ?」
誰?