第3章 刻を超えて
馬の上から私を見下ろしてくる眼光鋭い男の人
「誰……?」
「政宗!! その女を捕まえておけ!! 御館様が所望している!!」
「この女を?」
まるで値踏みするかのように私をジロジロと見つめてくる。
ずいぶんと失礼じゃない?
「天女は渡さない!!」
刀を振り上げ走ってくるお坊さんらしき人
ウソでしょう?!
逃げようとするけど、怖くて足が竦んで動けない。
お願いだから動いてよ!!
「へぇ……こいつが天女……ねえ」
小馬鹿にしたような声と刀が風を斬る音が重なったかと思った瞬間
お坊さんらしき人は地面に倒れ、私の身体は宙を浮いて何故か馬の背中に乗っている。
あまりにも現実味がない状況の私は、ただ呆然としてしまうだけ
「しっかり掴まっておけよ」
「え?……きゃっ!!」
前足を高く上げた馬に身体が落とされそうになり、無意識に腰に腕を巻いてしがみつく。
「いやぁああああー!!!」
か、風が痛いっ
風景が信じられないくらいのスピードで流れていく
「やだー!! おろしてよー!! 怖いよー!!!」
「はあ? まだゆっくり走ってるほうだぞ」
「え?! これで?!」
「もっと早く走ってやるよ」
なんだか嬉しそうなんだけど?!
「やだ!! やめて!!」
これ以上のスピードになんか無理に決まってる!!
……私の願いもむなしく
馬はさらにスピードを速め走っていく
続く▷▷▷