第7章 信じてくれた……?
「驚きすぎだろ」
「ま、政宗……さん?」
薄明かりに照らされて政宗さんの顔が浮かび上がっていた。
「こんな夜更けに何してんだよ?夜這いにでも行くのか?」
「夜這いなんてしませんよ!!」
さっきまで心細くて泣きそうだったけど、知っている顔が見られて少しだけほっとひと息つける。
「じゃあ何をしてるんだよ」
「政宗さん、お願いがあります」
「なんだ?」
「私を部屋まで連れて行ってください」
「はあ?」
自分の部屋がわからなくなった事を告げるとお腹を抱えて笑い始める政宗さん。
ちょっと酷くない?
しょうがないじゃない。
こんなにも暗いんだし、お城なんて初めて来たんだから。
「笑いすぎです……!」
「くくっ……悪かったな。頭を撫でてやるから機嫌直せよ」
「撫でなくてもいいから部屋に連れて行って下さいよっ」
伸ばされた腕から逃げるように体を捻り、政宗さんから少しだけ距離をとる。
「お前、面白いよな」
「面白い事なんて言ってませんから」
部屋がわかんないって言っただけなのになんで面白いになるのか私にはわからない。
「天女なら何でもわかるんじゃないのか?」
「だから……私は天女じゃないって言ってますよね?」
「……天女じゃなかったらお前は何者なんだ?」
さっきまでの笑顔は消え、私を鋭い瞳で見据える政宗さんに背筋が凍っていく。