第6章 天井から失礼します・・その2
「さん……ちょっとお邪魔するよ」
「え?だれ?」
「俺だよ……」
音もたてずに天井から飛び降りてきたのは佐助さん。
「会いたかったよー」
思わず感極まって半べそになりながら、佐助さんに抱き付いてしまった。
「ハハッ……熱烈な歓迎だ」
「だって~……淋しくて……」
優しく頭を撫でてくれるその手のぬくもりに更に涙が溢れて止まらなくなっていく。
心細かったんだもん。
「佐助さん……ここ……なんか違うよ」
「うん?」
「私の知っている戦国時代と違う……」
「これは俺の仮説だが……時空の歪みで俺達の知らないもう1つの戦国時代……つまり、パラレルワールドにいると理解した方がいいと思う」
時空の歪み?
パラレルワールド?
……ますますわからない世界なんだけど。
「佐助さん……早く帰りたい……」
「すぐにでも帰してあげたいんだけど……今はまだ研究をしている段階なんだ。でも」
「でも?」
「必ずさんを現代に戻してあげるから」
「うん……」
力強い言葉に私は安心して笑みがこぼれる。
「それよりもさん」
「なに?」
「佐助さん……と呼ばれるのはちょっと……」
「イヤなの?」
「現代からの仲間だからもっと、くだけてもらいたい」
「……くだけるって……佐助……くん……とか?」
「そうだな……佐助くんのがしっくりくるかな?」
「わかったよ、佐助くん。これからよろしくね」
「ああ……」
握手をして微笑み合う私たち。