第5章 天女伝説?
「ちょっ……?!」
「この着物はどうやって脱がせばよいのでしょう?難しいですね」
穏やかな笑みを浮かべ私の服……いや体に触れてくる三成くんの手を押しのけつつ後退る。
「なにをしようとしてるの?!」
「?……着物に着替えてもらうので、まずは脱いでもらいたくて」
「ちょっと待って」
「なにか?不都合でも?」
「恥ずかしい……でしょ?」
男の人に服を脱がされそうになるなんて恥ずかしいに決まってるじゃない。
「ほう……」
「はい?」
「なかなか良い顔をするな」
「良い顔って?」
「好ましい……な」
「っ……!!」
指先が私の頬をスーッと撫で下ろされて、胸がキュンと締め付けられてしまった。
初めて男の人に頬を触られたような気がするんだけど……
ドキドキが止まらないよ。
「……光秀さん、なに遊んでるんですか?」
「なかなか面白い玩具だぞ、家康」
「一応、天女なんでしょ?」
「だから!私は天女じゃないですって!!」
「……天女じゃないんだ」
「うっ……」
そんなにも興味なさげに見られると……
ちょっとだけ傷付いてしまいそうになるんだけど。
「天女だろうが鬼であろうが面白いなら問題はないだろう?」
「光秀さんにとっては……でしょ?俺には関係ないですから」
なんか……家康さんっていう人……言い方が辛辣なような気がするのは気のせい?
「お前らまだ遊んでいるのかよ」
「政宗さん、勘違いしないで下さい。遊んでるのは三成と光秀さんだけ……俺は違うから」
「そうなのか?……まあ、どうでもいいが信長様が戻ってきたぞ。このままでいいから連れて行けよ」
「……挨拶に行くよ。ついてきて」
「え?……は、はい……」
さっさと歩く家康さんの後ろをついていくと、少し離れて光秀さんが歩いてくる。
なんだろう?
まるで逃げ出さないように見張られているような気がするんだけど。