第4章 天井から失礼します
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「……さん、ちゃんと俺の話についてきてくれてるかい?」
「……ごめんなさい。迷子になっちゃいました」
顔がどうしてもひきつってしまう。
佐助さんの言っている意味がわからない。
「佐助さんなんて他人行儀な言い方しないで呼び捨てでいいよ。さんとは仲間だから」
「いや、でも……」
「同じ現代からタイムスリップしてきた仲間じゃないか」
……信じられない話なんだけど
タイムスリップってよくSF小説とかに出てくるネタだよね?
それが現実に起こるとはあり得ないと思うんだけど
「さんはスマホを持ってるかい?」
「スマホ?」
スカートのポケットをまさぐってみると
「あ……ある……」
手に取ったスマホの電源を入れると表示は圏外になってる
「圏外になってるよね?」
「うん」
「戦国時代には電波塔がないから圏外になるんだよ」
まあ、確かに戦国時代にはスマホなんてない。
そもそも電気自体がまだ無いのはわかるけど
「本当に……夢じゃなくてリアルっていう事なの?」
「そうだよ」
そうだよって言われても実感が湧かない。
もし、そうだとしたら
私はこれからどうしたらいいの?!
どうなっちゃうの?!
「還れるの?!」
「安心してさん」
パニックになりかけている私に佐助さんの冷静な声音は少しだけ安心させてくれる。