第2章 名探偵の好きな人
新一…いや、コナンくんは、
小学生は高校に入っちゃダメだよ〜という先生方に対し、
この可愛らしい顔とヴォイスと完璧な演技力を駆使して
この保健室まで堂々とやって来たらしい。
何言ったのかはわからんからこれは推測だけど、
「おねーちゃんが具合悪くなったって聞いて…ボク、おねーちゃんが大好きだから心配で、どうしてもお見舞いいきたいんだ!」
とか涙目で言ってたりして。
…推測というより、願望だなこりゃ。
それにしても。
初めてコナンくんを見かけたときに推理ショーっぽいのやってたときも思ったけどさ、
なんであんなにスラスラと言葉が出てくるのやら。
犯人を欺く為に平気でウソついたり。
誘導尋問みたいなことしてみたり。
……探偵はこわいなぁ。
「元気そうって言うけど、元気になったのはついさっきだよ。すっごく気分悪かったんだけど、新一の顔見た途端治ったの」
メールにも書いたでしょ
と言えば、
彼は、はぁと大きくため息を吐く。
「…ホント調子いいな、おめーは」
新一、嘘だと思ってる?
私はね、新一みたいに器用じゃないから、上手く嘘はつけないんだよ。
「本当だって。新一の顔ってもしかして癒し効果あるんじゃないかな?あ、これからは東の癒し系探偵って名乗るの、どう?」
「なぁに言ってんだ、バーロー」
呆れたようにそう言って、新一は小さく笑う。
あぁ、その表情、大好きだ。
本当だよ、新一。
万国共通じゃなくて、私だけかもしれないけれど。
あなたが傍にいるだけで
私はとっても幸せで、元気になれるんだから。