第3章 俺が教えてあげようか?
雪「まぁ……でもいつになっても慣れないかな」
ト「雪ちゃんでも慣れないんだ?」
雪「よくわかんないよ、全部何となくでやりきったし」
ト「何となく?……へぇ」
少し不機嫌そうにトド松は視線を下へ落とした
雪「顔暗いけど大丈夫?」
ト「雪ちゃん、1ヶ月も休むと鈍っちゃうの?」
雪「?まぁそうかもね」
ト「分からないこと沢山?」
雪「……人に聞き辛いしね」
ト「やり方も?」
雪「はっきりとはわかんないかな」
途端トド松はさっきまでの可愛らしさは消え妖艶に笑みを浮かべた
ト「僕が全部教えてあげようか?」
雪「!」
昨日の夜のことを思い出す。昨日の彼と重なった。やはり血は繋がっているのだとわかる
ト「僕結構自信あるよ、少なくとも兄弟の中ではね」
彼は首を傾げ目を潤して甘く迫った
ト「僕じゃ、ダメ?」
匿って貰ってる身としてはして貰うのは気が悪いが、彼の甘い顔は本当に断れない。
雪「……じゃあ頼もうかな」
私は何だか恥ずかしくてジュースの氷をストローでかき混ぜた
ト「本当?じゃあ今日の夜早速しようよ」
雪「いいけどなんで夜?」
ト「二人きりじゃないと恥ずかしいでしょ?」
雪「……っそう」
何故か早まる鼓動、胸の奥の苦しさ……そして謎の期待感がわいてしまったことに疑問を感じていた
ト「ごちそうさま、そろそろでる?」
雪「……うん」
はやまってしまう鼓動に胸を摩ってみる、変わらないけど少し落ち着いた気がした
ト「どうしたの?雪ちゃん」
雪「……?あぁいやなんでもないよ」
さっきの妖艶な彼は消えて私の知っているかわいいトド松に戻っていた。私は何故かこの鼓動と謎の期待感をトド松に隠してしまった
…
店からでた雪は幸せそうにパンケーキの余韻を感じていたが、トド松は少し不満げだった
ト「本当よかったのに……女のコに奢られるなんて」
雪「ええ?こんなに楽しませてくれたのに悪いよ」
ト「僕これでも男__」
雪「へぇ〜そのお金はどこからでてるんだっけ?」
ト「う゛」
苦虫を噛み潰したような彼の顔に雪は笑った
雪「それにお金を置いたのはトド松だししめしはついてるでしょ」
ト「……そういうことじゃない〜!」
雪「あはは!かわいい〜」
トド松の膨れた頬がかわいくて更に笑ってしまった
ト「〜っわらうな!……もう」
雪はまだトド松の裏の顔を知らない