第11章 捜索
夜の街とは不思議なものである。
おなじ街なのに、違う街に見えてくる。
怜は顔がバレないようにフードを被っている。しかし、この時間に大きな人形を抱えたまま一人で歩き回る子供は目立つ。
端末置いてきちゃった。
困ったものの、何とかなるだろうという気持ちの方が強かったためにぶらぶらと歩いている。
ここは鎮目町。赤の王の支配する町だ。
うーん・・・。とりあえず、セプター4に戻った方がいいのだろうか?
そう悩んでいる怜に覆い被さる影。
怜は冷静にくるりと後ろを向く。
怜「だれ?」
「君、どこの子?お母さんとお父さんは?」
金髪の青年が、そこにはいた。
よくよく見なくてもわかる。
怜「(十束多々良・・・。)」
少女と対面しているのは赤のクラン最弱の幹部、十束多々良だった。
十束「?」
怜「飛び出してきたの。」
十束「そこにいるのが嫌だったの?」
怜「そこにいちゃいけないのに、いたから。バレたら大変。」
この子、もしかして、何かに巻き込まれているのではないか?
十束はふとそう思った。が、十束は自分の立場をすっかり忘れていた。
後ろから走ってくる屈強な男たち。自分を追いかけていた人達だ。
このままこの子を置いていけば、きっと話しかけたから知り合いだと思われて連れていかれるに決まっている。奴らはそういう連中だ。
十束は少女を抱き上げる。
怜「!」
少女は驚いたようで身体を強ばらせる。
十束「ごめん!ちょっと一緒に逃げて!」
こうして、範囲の広い鬼ごっこが始まった。