第9章 子供
最近、体調がよくない。
頭痛がして、たまに胸が痛む。
何だこれは。
フラフラと仮眠室へ行き、ボスッとベッドに倒れ込む。
嫌だ。怖い。
懐かしい声がする。
やだ、忘れたくない。
助けて、ひこ・・・。
ガバッと飛び起きた。
伏見「・・・怜・・?」
寝る前よりも痛む頭。
バンッと勢い良く仮眠室の扉が開いた。
その先にいたのは副長。
淡島「伏見、赤のクランがお前に会いたいと来ている。」
伏見「・・・は?」
淡島「櫛名アンナだ。」
このタイミング、果たして偶然なのだろうか。
伏見は仮眠室を飛び出し、アンナの元へ走る。
伏見「アンナ!」
伏見が屯所の門を開けると、アンナは勢い良く伏見に抱きつく。
アンナ「怜が、泣いてる・・・!」
アンナはポロポロと涙を零しながら、伏見に話す。
アンナ「早く、行かなきゃ。」
なぜ、気付かなかったのだろう。
アンナはあの施設にいた。なのに、怜に出会っていた。
怜がその施設にいた可能性を、なぜ見逃した?
伏見「・・・怜の居場所はわかるか?」
アンナはこくりと頷いた。
アンナ「あの施設の、あった場所。私も、行く。」
伏見はアンナを抱き抱えると、走り出した。
ここからはそう遠くなかったはず。