第7章 偶然
伏見猿比古、15歳。
中学で知り合った八田美咲とともに、吠舞羅に加入。
多々良「伏見、そのピアス綺麗だねー・・・ん?イヤリング??」
猿比古「え?あ、あー・・・。」
美咲「コイツ、学校行ってる時もずっと付けてたんスよ?そのせいで教師に目付けられてたんスから!!」
多々良「・・・ねぇ、それ、見せてもらってもいい?」
猿比古「・・・はい。」
耳から外し、それを十束に渡す伏見。
多々良「・・・やっぱり。」
美咲「?どうしたんスか?」
多々良「ねぇ伏見。このイヤリングにぶら下がってる十字架、全部宝石だよ。」
猿比古「・・・は?」
多々良「色だけで判断すると・・・黒いのがジェットで、白いのがムーンストーンかな。」
猿比古「はぁ・・・。」
多々良「でもこれ、片耳だけで付けるイヤリングじゃないと思うんだけど・・・もう片方は?なくしちゃった?」
そう言われて、誰かの影が頭を過ぎる。
“ひこ。”
多々良「・・・伏見なら、思い出せるよ。」
美咲「?十束さん??」
ニコニコとしながらそう告げる十束。伏見は心臓を鷲掴みにされたような感覚に陥った。
多々良「このジェットっていう宝石の宝石言葉にね、忘却って意味があるんだ。だから、もしかしたら何かを伏見は忘れちゃってるんじゃないかなーって思ったんだけど、」
何か、忘れてる?
“ひこ、一緒。”
俺を呼ぶのは、誰だ?