第6章 さよなら
12月になった。
怜「・・・。」
猿比古「・・・?怜?」
最近怜の様子が少し変だと気付いていた猿比古。でも、怜は何も言わないのでそのままになっていた。
猿比古「怜。」
二人で外に出かけると、違う人の視線を感じる。
いつも、毎回だ。怜もきっと気付いている。
怜「・・・ごめんね、ひこ。」
怜は弱弱しく笑う。
怜「見つかっちゃった。」
そう言って笑う怜の目元には溜まった涙。
猿比古は、ワケが分からなかった。
けど、怜が遠くに行ってしまう気がした。
すると、玄関の方から人が入って来る音が聞こえた。
気付けば、二人は囲まれていた。
猿比古「・・・怜。」
怜「ごめんね、ひこ。私・・帰らなきゃ、いけない・・みたい。」
ポロポロと泣き出す怜。けれど、笑う事はやめない。
そんな怜の姿を見て、ズキンと何かが傷んだ気がした。