第30章 御柱タワー
礼司「・・・このままでは、あの少女の姿のまま命を落とす可能性もある、と。」
猿比古「・・・えぇ。」
淡島「そんな・・・!」
志摩「・・・仁多くんは、多々良と出かける以外はずっと怜の傍にいるんだ。」
琥珀「いろんな理由をつけて、だけどね。」
猿比古「・・・白銀の王。今なら、会える。」
シロ「・・・え?」
猿比古「前女王に会うなら、今だけですよ。」
シロ「・・・!」
バッと、シロは部屋に戻って行った。
志摩「・・・いいの?」
猿比古「・・・何が。」
志摩「怜の身体に負担をかける事。」
猿比古「・・怜なら、きっと負けない。」
シロは部屋に走って戻り、怜の正面に立った。
怜「・・・?」
シロ「・・・僕は、アドルフ・K・ヴァイスマン。玉依、わかる?」
その言葉で、怜の目の色が変わった。
怜「・・・ヴァイスマン?」
シロ「・・玉依・・・?」
玉依「・・・ふふっ、貴方は相変わらずね。」
シロ「玉依、現女王のこの現象は・・・。」
玉依「そうねぇ。このままじゃ、我が孫は死んでしまうわね。」
シロ「・・どうすれば・・・!」
玉依「ねぇヴァイスマン。貴方は十分頑張ったわ。夢であった石盤を壊そうとした。逃げてばかりだった貴方が立ち向かった。・・十分よ。」
シロ「でも・・・!そのせいで、女王は・・・!」
玉依「私の孫を見くびらないで頂戴。」
シロ「!」
玉依「孫は強い。私なんかよりもずっと強いわ。・・・女王にさせてしまったのは、本当に申し訳ないけれど、でも、この子は負けない。」
シロ「玉依・・・。」
玉依「ヴァイスマン、この子は独りじゃないのよ?」
シロ「!」
玉依「この子は独りじゃない。負けないわ。」
シロ「・・・ごめん、玉依。」
玉依「貴方のせいじゃないわ。」
ソッとシロの頭を撫でる女王。
玉依「貴方が幸せなら、私はそれでいいんだもの。」
シロ「ごめん・・・!」
玉依「笑って頂戴。私は貴方を泣かせたいんじゃないわ。」
シロ「・・・大好きだったよ、玉依。」
玉依「私もよ。ヴァイスマン。」