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白いアリスは彷徨う

第28章 帰還









仁多「お前もいなくなって、俺は本当の独りだった。でも、お前が生きてるならそれで構わないと思って、何もしなかったんだ。・・・そしたら当然の如く栄養失調にもなる。いつの間にか気を失って、次に目を覚ましたら施設にいたさ。けれど、その施設は養護施設なんかじゃなかった。」


多々良「・・・まさか、ストレインの・・!」
仁多「・・・ストレイン、異能能力者を作るための施設。そこにたまたま見つけられて入れられた。けど容姿がいいとか何だかで、結局売りに出された。で、回されて回されて・・・飽きちゃったから、逃げ出してみた。」






それからいろんなとこ放浪して今に至る、ってとこかな。





多々良「・・・!」

仁多「・・・死にたかったのに、殺してくれなかった。どいつもこいつもお前を会話に引っ張り出してきやがる・・・!忘れて死んでしまいたかったのに、死ぬことが出来なかった。」
多々良「仁多・・・。」



仁多「・・けど、お前は生きてた。吠舞羅にいたのは驚いたけど、普通に生きてた。俺みたいに何かろくでもない事にかかわらざるを得ない状況じゃなかった。・・・俺には、お前に会う資格なんて、これっぽっちもないと思ってたよ。」



天井の空を見つめながら耽々と話を進める仁多。





仁多「・・・ひょんな事からJUNGLEの創設に関わって、JUNGLEの一員になった。しばらくしてから、流はゲームを始めた。」





無色の王を動かしたのは、流だ。




多々良「・・・!」

仁多「・・無色の王がお前を狙った事を後日知った。生きていたって、死んでいたって、お前には会わないつもりだった。お前を殺そうとした奴をそそのかした奴の仲間だ。・・許されるなんて考えてもみなかったしな。」

多々良「そんな事・・・!仁多に会えなかった方が、ずっと悲しかった!!」

仁多「・・・お前が羨ましかった。アットホームな仲間がいて、いつも笑顔で。・・けど、そんな綺麗なだけじゃこの世界生きてなんか行けない。」






ぐっと握りしめた拳からは血が流れだした。




仁多「・・・赤の王にどう会ったとかはもう今更だろうし、聞かない。・・けど、1つだけ教えて。」
多々良「・・・何?」
仁多「お前は、吠舞羅で幸せだったか?」




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