第22章 アリス
ふと怜は外を見る。
猿比古「どうした。」
怜「・・・いや、何でもないよ。」
怜はまた目の前の仕事に没頭する。
怜にやってくる仕事は大体情報処理関係の仕事が多かった。それに合わせて猿比古もセプター4から持ってきた仕事をこなしていくのだ。
そこで仕事がないのが十束多々良。
多々良「・・・。」
多々良はジーッと二人を見るだけ。
多々良「・・・怜ちゃんってさぁ。アリスみたいだよねぇ。」
突然そう告げた多々良。
怜「・・・アリス?」
多々良「うん。それで伏見が白ウサギ。」
猿比古「・・・白兎?」
多々良「白ウサギはね、アリスを支えてると思うんだ。アリスが悩んだ時、白兎がひょっこり現れて行くでしょ?つまり、白兎はアリスを何処かで見てるんだよ。」
猿比古「・・じゃあ、アリスが追いかけられてないっすか、それ。」
多々良「アリスはアリスで白兎が何処にいるかって、実は分かってると思うんだ。でも、好奇心が働いていろんな物に手を出すんだ。いろんな所に行って楽しみたい!って感じかなぁ。」
怜「・・・結局は女王の元へ行って追いかけられるけど。」
多々良「うん、そうだね。」
ニコリとそう答える多々良。
怜「・・・アリス、ねぇ・・。」
きっとそれは、間違ってはいないのだろう。
猿比古「・・・怜、手動いてないぞ。」
怜「終わった。ひこ、手伝う。」
猿比古「頼んだ。」
多々良「コーヒーと紅茶どっちー?」
猿比古「コーヒー。」
怜「ストレートティー。」
多々良「はいはーい。」
一時の平穏が流れていた。