第2章 許嫁とカミングアウト
「えっ」っと言いながら私を見つめる深夜。「とにかく座れば? 」と深夜をずっと立たせておくのもアレだし、ソファに座るように促す。
視線を一瞬だけソファにやってから私に戻す。そして、そのまま時間が過ぎていく。
見つめ合ったまま、どれぐらいの時間が経ったのだろうか。長かったような、短かったような。
「深夜、そんなに見つめられると流石に照れる」
先に視線を逸らしたのは私だった。
「あぁ、ごめん。で、何で僕にしたの」
私は「ふぅ」と一息ついてから座っていたソファから立ち上がった。紅茶を2人分淹れて深夜に出す。
深夜は「ありがと」と言って受け取り、1口飲んだ。
「ん、おいしい」
「それは良かった」
そして、再びソファに座る。
「私、昔から深夜のことが好きだったのよ? 」
突然のカミングアウトに「ゲホッ」と咽る深夜。
「でも、深夜には《真昼》がいた。それに苦労して手に入れた《真昼の許嫁》という地位。私は何度も諦めようとしたんだけど、出来なくて……。それに、伝える勇気も何も無かったの。だからこの気持ちは、墓場まで持っていくつもりだったんだけど、ね」
ズズッと紅茶を啜る。黙って何も言わずに聞いてくれる深夜に涙が出そうになった。
「さっき、暮人兄さんに『深夜かグレンを選べ』って言われた時、迷わず深夜を選んだのは、今なら、真昼はいないから深夜をを私のものに出来るっておもったの。だから、結婚なんてしたくないって言えなかった。でも、私は深夜が好きよ。今も昔もこれからも。ずっと。大好き」