第2章 忠告の意味
「と、いうわけで」
『ようこそ!松野家へ!!』
「…ちっ」
迎えられてしまった。
こっちはそんなつもり一切なかったのに、歓迎されてしまった。
「いえ私はカラ松さんを送りに来ただけで…」
「まあまあ、良いじゃない。LINEくらい教えてくれても」
「それ関係ないですよね?!」
この6人、そっくりな顔をしているけど中身は全くの別人たち。
おそ松さんとカラ松さんの時点でキャラが濃かったのに、それに負けず劣らずの個性的な兄弟が揃っていた。
6人といえば、あの後ワチャワチャしているうちにおそ松さんが帰宅してきて、あわや長男の座が別人の手に渡りそうになって大変だった。
どうやら彼はカラ松さん以外の兄弟にも絡んできていたようで、そこでも一悶着あったみたい。
あんまりな5人の態度に怒り心頭していたけれど、そこは長年の付き合いの兄弟。
好き放題暴れた後はすぐに仲の良い六つ子となっていた。
これが彼らの本来の姿なのだろう。
「ごめんね、やかましくて」
「いえ、お構いなく……えっと、松さん」
「いや合ってるけど違うよ?覚えるの面倒になったのかな!?」
名前を間違えるのも申し訳なかったので、皆の共通部分を抜き出して呼んでみたのだが、ダメだったらしい。
びしっと突っ込んでくれたその人は、チョロ松と名乗ってくれた。
それを皮切りに他の人達も次々と自己紹介をしていった(既に知っているおそ松さんやカラ松さんまでも)が。
1人、部屋の隅に座って何も話さない人がいた。
「あの人は、」
「あぁ、あいつは一松。四男なんだけど愛想がなくてね〜、もう俺あの子の将来が心配っ!」
「…放っとけよ」
私の視線に気付いたのかおそ松さんが紹介してくれたけど、一松さんはどうやら不満そう。
私の来訪が気に入らなかったんじゃないかとも思ったけれど、いつもあんなだよとチョロ松さん(多分)にフォローを入れられた。
「ふっ…俺はアイツを信じてるぜ」
「黙ってろクソ松」
「フォローしたのに?!」
そして一松さんをフォローしたカラ松さんは言った直後に胸ぐら掴まれて涙目になる。
一松さんは、カラ松さんが嫌いなのだろうか。そんなことをチョロ松さんのツッコミを聞きつつ思っていると、ふとあることに気付いた。
「あれ、カラ松さん…キャラ変わりました?」