第7章 彼の本心
次の日。
私は毅然とした足取りで歩いていた。
目的地はもちろん、松野家である。
「あいつら結局何も連絡してこないし…!!」
流石にこれは怒る。
赤の他人である私に対して奢らせておいてしばらく顔を見せなかったことはまだ100歩…いや、10,000歩譲って良しとしよう。
しかし、カラ松は彼らの家族だ。
血を分けた兄弟が誘拐され、あわや目の前で殺されかけた。
それに対しての反応があんまりなのは譲れない。
というか人間か。
お前ら本当に赤い血の流れる人類なのか。
とりあえず今日は奴らの体を解剖して血が流れているか確認しないと帰れない。
「…カラ松、大丈夫かな」
脳裏を横切るのはホテルに置いてきた彼。
家に帰るか聞いたところ、彼はもう少しここで考えてから帰ると言った。
その思いを尊重して、病院には行ってとお金を置いて来たのだが、1人にしておいて良かったのだろうか。
昨日私なりに励ましたのが効いたのかどうかは知らないが、それなりの段階には回復していたみたいではあった。
だが、それが空元気という可能性は拭えない。
やっぱり一緒にいた方が良かったんじゃないか、そんな気もした。
「…いや、そのためにもあいつらに謝らせる」
でもきっと、私が何をしてもあまり変わらない。
彼が待っているのは家族の迎え。
なら私に出来ることは、兄弟達に自分たちのしたことを教えることだ。
なら、私はこの足を止めちゃダメだ。
決意を新たに、私はついに松野家に辿り着いた。