第4章 誰を養う?
六つ子のプライドなき戦いは終わった。
彼らの両親が、離婚以外の道を探すという結論に達したことで。
彼らの生活は守られたのだった。
「お疲れ様、ちゃん」
「ううん、私何も出来なくて…」
「、大丈夫だ。俺は自分が保留となった理由がお前だなんて考えていないからな」
「ありがとうカラ松。でもそれは元々君自身のせいだからね」
「野球しよ!!」
「脈絡ないね、十四松…また今度ね」
今部屋にいるのはカラ松、チョロ松、そして十四松。
つまり面接での保留組である。
チョロ松は保留ではないが扶養でもないので一応保留とさせていただいた。
変なことに巻き込んだからとチョロ松がお茶を出してくれたので、そこでお言葉に甘えていたら2人が来たのだ。
といっても2人は私を労うわけでもなく、カラ松は鏡を見つめ、十四松はバットを振っている。
私の隣に座ってお茶を啜っていたチョロ松が、突然口を開いた。
「本当に、ごめんね。こんなことに巻き込んで」
「良いって、そんな謝らないでよ!見てる分には申し訳ないけれど楽しかったし」
彼は随分と私を引き入れたことを悔いていた。
あんなカオスな展開になるとは思っていなかったのだろう。
でもあんまり気にしないでほしい。
「チョロ松、私はこのくらいならいつでも手伝うよ」
だって、
「"友達"が困ってるならさ」
私達は友達でしょう?
「まぁ、いつか3人が扶養に入れなくなった時は私が養ってあげるよ……職は見つけてもらうけど」
『………!!』
3人の顔が輝く。
十四松が飛びついてきたおかげで、私は横に吹っ飛び思い切り頭を打った。
でもその勢いが、彼の喜びと感謝を伝えてくれた気がして、どうも怒れなかった。
カラ松も鏡から視線を外して、私を見てありがとうと柔らかな笑顔を浮かべてくれる……ウインクつきで。
そしてチョロ松は、
「……ありがとう」
いつもへの字の口を逆向きに変えて、泣きそうな笑みを見せた。
「あ、そうだ。この間のおでん代、忘れてないから」
『え?』
「友達が困ってたら助けるけど、私に何も知らせずに奢らせるのは許さないから」
『ごめんなさい』
「それで良し、そろそろチビ太も怒っちゃうよ?程々にね」