第3章 取引先もハタまたすごい
その後上司たちが戻ってきたので、帰ることにした。
失礼しますと荷物をまとめて立ち上がると、忘れてたと声をあげたミスターフラッグ…改めハタ坊に呼び止められる。
「、これあげるジョー」
「これ?……って、諭吉じゃないですか!!!」
渡された封筒の中にはずっしりと諭吉…1万円札が入っていた。
いやいやいやいや待て待て待て。
ハタ坊を見ても当然だみたいな顔をされていてどう答えればいいかわからない。
少なくともこれをもらう理由はないと私は首を振った。
「何でダジョー?はアドバイスくれたジョー、くれたらお礼するのが当然だジョー!」
「お、お礼…?」
お礼にしては額が常識を超えている。
先日貸したおそ松達の飲み代どころか彼らの今までのツケくらい返せるんじゃないかというほどだ。
「くれるというならもらっておけ。ミスターフラッグのご機嫌を損ねるな」
「……はぁ」
上司に怒られ仕方なく礼を言って鞄にしまう。
使うのも申し訳ないから非常時のためにとっておこう、そう決めて。
「また来るジョー!!」
元気なハタ坊の声に見送られ、私と上司はビルを後にした。
「お疲れ様でした」
「あぁ、すまんね、君も。……しかし、随分とミスターフラッグに気に入られたみたいだね」
「まぁ、色々ありまして」
元々ここに来るはずのない私。
それがここにきて、また1人新たな友人が出来た。
そう思うと、今日のちょっとおかしな商談の付き添いも良いものだと思える。
「なら、今後ミスターフラッグへの商談は君に任せよう」
「…え?!でも私元々の仕事は…」
「何、時間のある時で構わない!君は仕事が速そうだし大丈夫だろう。では、頼んだよ!」
「いやでも!勝手に決めていいんですか?」
「ん?君がいると商談がスムーズに進むし、商品が売れるからな!皆文句は言わないさ!」
結局強引に押し切られてしまったまま会社に戻ってくると、上司は元の仕事場に戻っていった。
「さん、来て早々大変だね」
「あはは…はぁ」
近くのデスクの人にそう言われ、苦笑をこぼす。
でもこうやって振り回されて過ごす日々を、楽しいと感じている自分がいた。