第3章 心臓が鳴りやむ前に。
「花乃!何すねてんの!?」
「……………………」
私は徹底的に今日話してくる玲奈の事を無視した。
今はもう昼休みだ。
排球部の知り合いということで3人で食べている。
すると玲奈は、隣の席の影山君に話しかける。
「ねえ影山!花乃が病気になっちゃったよ!どうしよう?」
「えっ、病気!?大丈夫っスか!?」
「そこ信じるの!?おかしくない?っていうか何の病気だし!!」
「え?恋ワズライじゃないの?(笑)」
「はあっ!?」
「え……」
「……影山君、真面目に受けないで。っていうか相手誰だし……。」
玲奈の耳を引っ張りながら私は思わず朝の事を思い出す。
(絶対玲奈、わざとやったよね……デートっていう流れになること分かってたのかな……?)
「え?月島じゃないの?」
『はあ!?』
私と影山君の声が重なった。
「ありえないありえない!!あいつ性格最悪なんだよ!?」
「なんであいつが出てくるんスか!?」
「だって二人ってさ、結構仲いいじゃんね~。」
玲奈が意味深に私の後ろを見る。
私たちは体育館近くにいたわけだけれど、後ろを振り向くと蛍と山口君がいた。
「ほんと、意味わかんない……。」
「ねえ、加賀さん。俺が話あるからツッキーに付き合ってもらっただけなんだよ。」
山口がにこっと笑って蛍を指さす。
蛍はそっぽを向いていた。
私にあんな約束を勝手に押し付けて、今は無視ですかい!
「うん。山口君、二人で?」
「え”……」
影山君がなんだか嫌そうな顔をした。
山口君がこくりと頷いたので、私はそっと立ち上がってついていく。
山口君は、そんなに遠くないところで止まった。
「加賀さん……」
「はい。」
山口君が振り返ったとき、その顔は歓喜に満ち溢れているというか、泣き出しそうな感じだった。
「ど、どした……?」
「ツッキーの事、好き?」
「え”!?」
唐突な質問に、私は思わず身をこわばらせる。
「いやいやいや!!好きになる以前に性格が終わってない!?」
「そこも含めてツッキーのいいところだと思うんだけれど!!」
「山口君はMなの!?Mなのか!?」
「そこは決めつけないで!!そうじゃなくて、ツッキーが優しくなったら好きになるの!?」
「は……?」