第3章 心臓が鳴りやむ前に。
「っ、加賀さん!一昨日はほんとスンマセンでした!!」
「あぁ、うん。気にしないでください。」
下駄箱でまた影山君と会ってしまった……。
(ってか、あれは絶対私の方が悪かった。)
すると一緒に来た玲奈はにやにやしながら影山君の背中を押した。
「影山は先に行って!あたしちょっと花乃に頼みがあるんだから!!」
「う、ウス……。」
?マークを浮かべながら影山君が行ってしまうと、玲奈は私の方に向き直る。
「ねえ、さっきはそんな事微塵も言ってなかったよね?」
「急用なの!花乃はちょっとさ、彼の相手してよ。」
「彼?」
玲奈が指差す方向を見ると、翔陽君とまた何かしら言い合っている人と、それを止めようとしている弱弱しい男の子がいた。
「翔陽君?いいケド?」
「まさか!日向と山口はあたしだよ!花乃は……」
玲奈は何でそんなに誇らしげな顔をしているの?
彼はどうしてこちらに気づいてまずい、って顔をしているの?
玲奈は何でそんなに私に嫌がらせをするの?
彼はどうして顔真っ赤なの!?
「なんでいるんだよ、馬鹿蛍ーーーーっっ!!!」
そう叫びたいほど嫌な気持ちだった。