• テキストサイズ

片羽天使と悪魔

第1章 出会い


「…何?」

ハッと我に返る。
人間の女ごときに見とれていたなんて、なんだか恥ずかしくて顔が赤くなる。

それを隠すためにパッと顔を背け、べつに。とだけ声を発した。

「そうじゃなくて。あなた"何"?」

「?…ここは普通、誰って言うところじゃないの?」

「冗談でしょ?だってあなた、"人間じゃないじゃない"」

薄っすらと笑みを浮かべながらそう言われた。

正直、驚いた。
悪魔の羽は隠してあるし、どこからどう見ても人間のはずだ。

なのに…どうしてわかったんだ。
俺が人間じゃないことが。

「なんでって顔してるね」

確かに普通の人には見えないかもしれないけど、私にはね。と言いながらゆっくりとこちらに人差し指を向けてくる。

「見えるの。"ソレ"が」

「…!」

その人差し指は、確かに俺の背中に、羽に、向けられていた。

「へぇ…驚いたな」

あくまでも、余裕を持っているようにして呟いた。
悪魔だけに。

…うん、忘れてくれ。


「ふふ、私、普通じゃないから」

そいつはもう一度笑ってから、プールサイドから出て行った。

その時。
出て行く寸前に、そいつの背中から薄っすら羽が見えた。

俺とは対照的な、純白の羽。

でもそれは何故か片方しか見えなかった。

「…へぇ」

自然に広角が上がる。

これは悪魔界にいるよりよっぽど面白そうだ。
/ 30ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp