第6章 鈍い音
それからまたしばらくして、雪華が泣き止んだ。
泣き止んでから改めて今の状況を理解したらしく、急に俺の胸を突っぱねた。
「うおっ!!」
不意打ちをくらい、よろける。
一方で雪華は、目と同じく顔も真っ赤にしてオロオロしていた。
「あ、えと、その…」
雪華が言葉を探す。
なんだか微笑ましい。
ちゃんと女の子なんだと、再確認する。
その時だった。
チャイムが鳴り響き、下からは別れを告げる挨拶。
…授業を全部サボってしまった。
「あ、じゃ、じゃあ!帰るね!!!」
とんでもない勢いで雪華が屋上から消えた。
慌てて雪華を追ったが、俺の肩は廊下で何者かに掴まれた。
「あーくーとーくーん」
「げっ…せ、先生…」
「転校早々!!授業をサボるとはどー言うことだぁ?!」
「これには訳が!!」
「言い訳は職員室で聞く!!!」
ついて来い!と胸ぐらをつかまれて連行された。
くっ…今は雪華と話をしなければいけないのに…!!
このぉ…"タンニン"とかいう魔王めええええええ!!!!!