第1章 短編集※R18
どうしてこんなことになっているか、という質問に彼は
“これが俺のお願いだったから”
と簡単に言われるが、どう考えてもこの状況はおかしいし簡単に“これがお願いだ”という彼に詳しく問いただしたいのだが酸欠で回らない頭にはただ
苦しい、どうして、痛い、きもちい、
この4つの言葉しか出てこない。
「ふ・・・う、はぁ、んっ・・・あ・・・っ」
「・・・、はぁ、うっ・・・」
本当、どうしてこんなことになっているのだろうか。
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同じクラスの新開くん。
女の子に人気があって、気さくで面白い。
自転車競技部に所属していて、すごく速いらしくて、よく食べる。
あと勉強があまり得意じゃない。
知ってるのはこれくらいかな。
私と新開くんは席が近かったこともあって、テストで私の順位を知ってからか勉強を教えてくれというやりとりになり、一緒に勉強するようになった。
周りからはいいなぁとか言われたけどじゃあ教えたら?と言うと新開くんの物分かりの悪さに皆さじを投げたのだとか。
そんなに物分かりが悪いわけでもなければもともとそんな頭は悪くないと思うが、そんな彼に私が教えている、という事に対して優越感に浸り、もう少しこの優越感に浸りたいというなんともたちの悪い理由でとやかく言うのをやめた。
インターハイが行われる少し前のテスト期間にいつものように教室で勉強を教えていた時だった。
「・・・お願い?」
「あぁ、にしか頼めないんだ。」
既に二人きりになってしまったうす暗い教室で
“インターハイでリザルトを取ったら取った分のお願いを聞いてほしい。“
と新開君は顔の前で手を合わせながら私にこう言ってきた。
こうして誰かにお願いをするが自転車競技部でインターハイに出る人の願掛けというか、しきたりなんだとか。
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