My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「こんなこともあろうかと、持って来て正解だったぜ」
「…何を?」
あ、なんか嫌な予感。
科学班の人がこういう得意げな顔する時って、いっつも面倒なことが起きるんだよね…。
主にあの巻き毛の室長が原因だけど。
「見よ! 科学班特性ゴーレム型盗聴器だ!」
じゃん!なんて効果音を発声しながらジジさんが懐から取り出したのは、ちっちゃなミニゴーレム。
見覚えのあるその黒いフォルムは、エクソシストに一人一機備えられた通信ゴーレムに酷似していた。
パタパタと小さな蝙蝠状の羽を羽ばたかせて、ジジさんの肩の上を飛ぶ。
……って盗聴器言いました? 今。
「もう一体はさっき警察署の中でこっそり放したんだよ。これで警察内の怪盗Gの情報が聞き出せる」
「…ジジさん」
「それって…」
「…犯罪なんじゃ…」
思わずバズ達と正論をツッコむ。
これバレたらそれこそお巡りさんに捕まりますよ、私達…。
なのにジジさん一人だけ、気持ちいいくらいに満面の笑顔。
「バレなきゃいいだろ。ちゃんと隠れて盗聴するようプログラムしてある。俺の腕にミスはない!」
「…教団一の科学の腕の持ち主が、よく本部内でミスってますけどね」
あの黒髪巻き毛さんが。
「だーいじょうぶだって! とにかくこれで警察内部の情報探ってみようぜ」
その"大丈夫"が一番信用ならないんだけど。
よく変な薬や機械を作っては失敗してるのに、どこからその自信が出てくるんだろう…不思議だ。
…本当、これだから科学班は。
ファインダーと科学班の間に中々埋まらない溝ができるのは、これが原因なんじゃないかと偶に思う。