My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
「……」
…ユウ…
思い出すと、なんだか愛しさがこみ上げた。
ユウに会いたい。
傍にいると、誰よりも落ち着く人。
私の大切な人。
「じゃがその思いが今は枷だ」
「…え?」
枷?
さっきまでの優しい声が一変する。
視線を上げて見えたワイズリーの顔は、もう優しい笑みは浮かべていなかった。
枷って、どういう意味。
「枷なら外せばいいだけだろ」
顔を温かい何かに包まれる。
視界に入り込んだのは、端正な顔立ち。
あ…これ、怨念に呑まれていた時に感じたものと同じだ。
両頬を包んでいる、大きな温かい手。
ティキの手だったんだ。
……。
…というか、近いんだけど。
「近い近い近い」
「まーまー。タダなんだからあり難く貰っとけ」
顔を離したくても、しっかり両手で掴まれてるから退くに退けない。
というかさっきからなにその上から目線。
余程自分に自信がおありなんですね。
生憎、美形には見慣れてますから。
系統は違うけど、物騒な顔する美形さんの隣によくいるもので。
というか私別に美形好みじゃないから。
寧ろずっと見てると、世の中の理不尽さしか感じないから。
何この端正な顔。
高い鼻に長い睫にぱっちり二重。
ベスポジに配置された目やら鼻やら口やら…ああ羨ましい。
泣きボクロとか何それ色気担当ボクロですかそーですか。
どうやったらそんなオプション神様に付けてもらえるんですか引き千切っていいですか。
「…なんか顔怖ぇんだけど。すげー睨まれてる気がすんだけど気の所為?」
いえ気の所為じゃないです。
「その顔見てると苛々してくるもので、つい」
「顔面拒否かよッ」
「ティキに顔を寄せられて睨み付けてくるオナゴなどおらんかったのにのう。寧ろ頬を染める者ばかりじゃったのに」
知りませんそんな余所の女の子事情。