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My important place【D.Gray-man】

第40章 パリの怪盗



「調べてみる価値はありそうだな。もしかしたらイノセンスと関係してるかもしれねぇ」

「ですね」


 食べ終えたサンドウィッチの袋をくしゃくしゃと丸めて言うジジさんに、頷いてベンチから腰を上げる。
 急いで口に残りのサンドウィッチを詰め込んで。

 わかってたけど、仕事中はお昼をゆっくり食べる暇もない。
 とりあえず少しでも可能性がありそうなことは、片っ端から調べていかないと。


「怪盗Gが白だったら、また一から聞き込みですけど」

「うげ。まじかぁ…ファインダーの仕事って地味に大変なのなぁ。肉体馬鹿だって思ってたけど取り下げるわ…」

「ちょ、肉体馬鹿って。酷くありませんっ?」

「お前らだって俺らのことインテリだなんだ言うだろ。似たもんだ」

「私は別にそんなこと──」


「でも怪盗なんてちょっとワクワクしますね、バズ先輩っ」

「おー、あれだろ? 怪盗ルパンの再来とか言われてんだろ。興味出るよなぁ」


 ……。
 大柄な男性二人が怪盗の話できゃっきゃしてる…。

 うん。
 頭が少しばかりお花畑なのは、否定できないかもしれない…。


 でもまぁ、


「怪盗ルパンの再来ね…随分と大きく取り上げられたもんだなぁ」


 フランスで有名な大怪盗といえば、あのアルセーヌ・ルパン。
 もう大昔の怪盗だけど、"怪盗紳士"なんて謳われる程の義賊的怪盗だった。
 そんな大怪盗と肩を並べるなんて、かなりの大物じゃないとできないと思う。


「んじゃま、とりあえず警察署行ってみっか。そこから怪盗Gの情報が色々掴めるかもしんねぇ」

「そうですね」


 ジジさんに賛同して頷いていると、その色付き眼鏡の奥にある目が、じっと私に向いていることに気付いた。
 何?


「なんですか?」

「いやぁ…雪、ここ虫に刺されてんぞ」

「え?」


 あ。

 トントンと自分の耳の付け根の下を指差すジジさんに、ドキリとする。
 思わず顔が赤くなってしまいそうで、慌てて顔を逸らした。

 そこって…ユウに虫除け付けられた所だよね。

 やっぱり虫刺されに思われたんだ。
 ちょっぴりほっとしたりして。


「こんな季節に珍しいな」

「あはは…ですねー」


 取り繕って笑う。
 平常心、平常心。

 うん、これは虫刺されです。











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