My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
任務先はフランス、地はパリ。
賑やかな人並みと美しい建造物が続く街並み。
パリはフランスの首都であり一番の巨大都市。
美術品や世界遺産を幾つも所有しており、観光地として人気の街の一つ。
その人気通りの綺麗な街だった。
そんな街で、美味しいフランス料理に舌鼓を打ちながら任務遂行。
なんて贅沢で美味しい任務。
……なんて夢のまた夢。
「先ぱぁ~いっ! お昼ご飯買ってきましたよぉ!」
「おー、悪いな」
「はい、これは雪先輩の分」
「…ありがと」
にこにこと食料調達してきたゴズに手渡されたのは、極々普通の何処にでもあるサンドウィッチ。
…そうだよね。
聞き込み調査しながらフランス料理屋で昼食、なんて普通できる訳ないもんね。
ユウがいてもいなくても、早々美味しいものにはあり付けないらしい。
…ちょっぴり凹みつつ、包みを開けたサンドウィッチの端っこを齧る。
「それで、聞き込みはどうだった」
任務地に着いて早々、二組に別れての聞き込み調査。
今回の任務は"パリで怪奇な出来事が起きている"としか情報がなかったから、一から地道に聞き込みをして回った。
公園のベンチに腰を下ろしながら尋ねるバズが、大きな口であっという間にサンドウィッチを食べ尽くす。
いい食べっぷり。
「オレとジジさんとで街の人に聞いて回った感じでは、特にぱっとしたものはありませんでしたねぇ」
「子供の噂話程度だな。…まぁ一つ引っ掛かったのは、"怪盗G"の話くらいか」
あ。
「それならこっちも同じです。ここ最近での怪奇な出来事について問えば、二人に一人は"怪盗G"のことを口にしてました」
サンドウィッチに挟まれたハムとチーズを味わいながら、ジジさんの言葉にこちらの調査報告を伝える。
私とバズが聞き込み調査した中でも、やはり気に止まったのは"怪盗G"の噂だった。
〝怪盗G〟
ここ最近パリを騒がしている怪盗で、そのニュースは薄らと新本部があるイギリスの方にも伝わっていた。
なんでもパリのあちこちで犯行予告を送り付けては、高価な品を盗んでいるとか。
そしてその盗みは今のところ百発百中、失敗は無し。
パリ警察は苦虫を噛み続けているらしい。