My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「もう、そういうこと言わないっ」
「イテッ」
頭なんて到底手は届かないから、不満を漏らすバズの大きな背中をベシッと多少キツめに叩く。
「人手不足の私達の為に補充要員として参加してくれてるんだから。私達にしかできないことがあるように、ジジさんにしかできないこともあるの」
「雪…けっ。わぁったよ」
「わかればよろしい」
喧嘩っ早い性格だけど、理解がない訳じゃない。
ちゃんと話せば伝わるし、何よりも仲間の為に流せる涙を持ってる。
バズはそういう人。
ユウはあの喧嘩の一件以来、バズのこと毛嫌いしてるみたいだけど…私は嫌いじゃない。
バズは私の仲間の一人だ。
「くく。いやあ、いいねぇ。雪も立派なファインダーになったもんだなぁ」
そんな私達を見ていたジジさんが、楽しそうに笑う。
ジジさんはファインダーになる前の幼い私を知ってる人だから…そういうことを言われると、少し気恥ずかしい。
「オトーサンとして鼻が高ぇよ」
「…いつから私の父親になったんですか」
こういうところは昔から変わらず、茶化してくるけど。
「こんな不衛生な父親、遠慮します」
「酷ェな! 昔は俺の後をいっつもちょこちょこついてくる、そらー可愛い奴だったのによぉ…ヒヨコみたいで」
「へぇ~! そうなんですか? なんか可愛いですねそれ!」
「だから小動物に例えるのやめて下さいって! というか当たり前の顔で嘘つくのやめて下さい。ゴズが信じてるでしょっ」
「えっ嘘なんですか!?」
ちょこちょこジジさんについてったりしてません。
私がついていってたのは、寧ろクロス元帥の後だから。
「オイそこの一行さん! ゲートの出口だぜ!」
ジジさんとゴズと話しながら歩いていると、先頭を進んでいたバズが振り返る。
その前方には、方舟ゲートの出口。
この先は今回の任務地、フランスだ。