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My important place【D.Gray-man】

第39章 夢現Ⅲ



「雪」



 ワイズリーの金色の目が、ティキから私に変えられる。
 すると額の目玉のような模様も、キョロリと同じように動いたように見えた。



「主の望むものはなんだ」

「…私の望むもの?」

「うむ。主が欲するもの。やりたいこと。いたい場所。なんでも良い」

「…いたい場所…」



 …そんなもの、決まってる。



「…ユウの、隣」



 私が望むのは、ただ一つ。
 あの人だから。



「…そういうことだ。雪が何より求めているのは黒の教団の者。故に心が何よりノアになることを拒否している。ワタシらのことも無意識に否定しておるのだ」

「…心が否定してんのか」

「うむ。だから"ここ"ではワタシらの存在も曖昧じゃし、目が覚めれば忘れてしまう」



 ぽつりと漏れた名前に、ワイズリーは私じゃなくティキを見た。
 その反応はまるで最初から、私の答えがわかっていたかのように。

 ここ?
 目が覚めるって…私は眠ってなんかいないけど。

 ……もしかして、これは夢なのかな。
 考えれば、ユウの部屋にティキ達がいる方が可笑しい。



「人の心は時に何よりも脆く、時に何よりも強い。そういうものだ」

「…ふーん……雪の記憶に俺らのことを刻むことはできねぇの?」

「できなくはないが…そうするとノアのメモリーを深く刻むことになるからのう…覚醒が早まってしまう。こんな状態で早めるのは得策とは言えん。教団の奴らに見つかって殺られるのがオチだ」



 なんだろう…二人の会話は引っ掛かるのに、何故かしっかりと理解できない。
 きっと大事なことを話してる。
 なのに何故か、意識の隙間からぽろぽろと零れ落ちていくようにはっきりと内容を呑み込めない。

 私の中の何かが、否定するかのように。

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