My important place【D.Gray-man】
第40章 パリの怪盗
「……首痛くなりそう」
「え? なんか言いました? 雪先輩」
「ううん。今回はよろしくね、ゴズ」
「はいっ!」
方舟ゲート内の白い煉瓦道を歩きながら、隣を歩く大きな背丈を見上げる。
思わず零れた言葉ははっきりと伝えず笑顔で首を横に振れば、満面の笑みで返された。
「先輩方二人と一緒なら心強いですよ~」
ユウよりも大柄な体で、そんな体には似合わない無邪気な子供のような笑顔を浮かべているのは、ファインダー仲間で後輩でもあるゴズ。
その目は私だけでなく、その隣にも向いていた。
「そうかぁ? もっと褒めてもいいんだぜ」
其処にはゴズより更に大柄な巨体がぬっと立っていた。
ゴズだけでも充分大柄なのに、更に大柄なこんな体が近くにあれば、私なんかすっぽり隠れてしまう。
にまにまとドヤ顔で笑っているその人物も、同じくファインダー仲間であるバズ。
なんだろう…名前も似てるけど背格好も似てるよね、二人って。性格は対照的だけど。
そんな大柄な二人を間に、ずっと私の首は上に曲げっ放し。
今回の調査任務で組むことになったファインダー仲間は、このゴズとバズの二人だった。
…本当、任務が終わる頃には首痛くなってそう。
「おいおい、俺の存在も忘れてもらっちゃあ困るぜ」
「あっそ、そうでした! すみません!」
「よろしく頼むな~、ファインダーの皆さんよ」
更に其処にもう一つ。
二人に比べれば極々普通の一般身長の男性の姿。
色付き眼鏡にニット帽にドレッドヘアー。
そして顔中にある無精髭。
そんな個性的で濃い容姿のこの人は、ファインダーではなく科学班として教団で働いている人。
新本部の増員組としてアジア支部から戻ってきた、ジジさん。
「ちぇっ。なんで科学班の野郎なんか…オレらだけで充分だっつの。こんなインテリいらねぇよ」
慌ててジジさんに頭を下げるゴズとは違い、不満そうに呟くバズは相変わらずというか。
エクソシストであるユウとも喧嘩してた人だもんね…。