My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
「嘘だ」
「のの…雪までそんなことを言うのか」
「だって嘘臭いその笑顔」
「の…」
思わずきっぱりツッコめば、両手で顔を覆ってメソメソと言い出す。
うわー…なんてわざとらしい。
これボケ?
わざとやってんのかな。
「酷いのう…御主の為に、ちょーっとばかり覗いておっただけなのに…優しく見守るこの愛が伝わらんとは」
「や、見守るって…何」
それ一歩間違えたらストーカーだから。
「今日は何を食べただとか誰と話しておっただとか」
あ、なんかそれ危ない気がする。
「何回トイレに行っただとか何回シャワーを浴びただとか」
あ、なんかそれもうアウトな気がする。
「どんなAVが好みだとかプレイ時は噛み跡をつけ」
「ぎゃー! すすすストップストップ!!」
ってちょっと待って!
何故それを 知 っ て い る!!!
「…激しいプレイしてんのね、お嬢さん」
「違う! そんな悟った顔して見ないで! 色々と誤解!」
へー、と相槌打ってくるティキはしらーっとした目。
待ってそんな目で見ないで。
というか穴があったら入りたい。
何この羞恥心。
身内に性事情知られたような感覚…って身内いないからわかんないけど。
「ワタシは気にせんがのう。性癖など個人の自由だぞ」
「そこ黙れ!」
性癖言うな!
あれはユウ限定です!
「くっ…ははっ! やっぱ雪って面白いよな」
絶対に赤いだろう、そんな顔でワイズリーに罵声を飛ばしていたら、心底愉快そうなティキの笑い声が響いた。
楽しそうに笑ってるところ悪いけど、それ羞恥心が増すだけだから。
というか近いから色々と!
「あの…っ」
「ん?」
「いい加減放してもらえないかなっ」
「…さっきは自分から縋り付いてたのに?」
「もう大丈夫だから! ありがとうございました!」
「まーまー、そんな焦んなくても。どうせだからもう少し堪能してけよ、タダだから」
「何が!?」
「俺が」
思わずツッコめば、わあ爽やかイイ笑顔。
なんか段々思い出してきた。
確かナンパなキザ男だったよこの人…!