My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
「──ぃ…おい雪ッ!」
微かな声
それが私を呼ぶ声だとはっきり悟った時
顔を温かい何かに包まれた
「俺を見ろ! 雪!」
温かい、だけど強い力で顔を包まれる
涙でぼやけた視界に映る誰かの顔
すぐ間近にある顔は、ぼやけてよく見えない
見えないけど…見覚えがある
ユ──…
「落ち着け、お前は雪だ。月城雪。そう俺に教えてくれただろ」
声がはっきりと耳に届く
あれ…
私の口、もう叫んでない
「ぁ…か、は…ッ」
「ああ、いいから。無理に喋るなよ。頭ん中でだけ唱えてろ。お前は雪だ。月城雪」
「…ッ」
…私は…雪…
そうだ…私は…私の名前は、月城雪…
それ以外の何者でも──…あ、れ
…この声……ユウ、じゃない