My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
「ぅ、ぁ…ッ」
それは一瞬にして襲い掛かってきた。
「うあ、ぁああ…!」
ビキビキと額を裂くような、割るような鋭い痛み。
思わず頭を抱えて、ふらふらとその場から後退る。
痛い
痛い
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
「い…ッあ…っあああああ!!!」
"痛い"なんて言葉を吐くことすらできない。
喉の奥から吠えるように漏れる叫び。
教団の誰かに聞かれたら。
そんなことを考えることも止めることもできなくて、頭を抱えたままベッドに倒れ込んだ。
──奴ヲ許スナ
激しい割れるような痛みの中、頭に木霊する声。
──絶対ニ許スナ
感じたのは、激しい怒りのような怨念。
目は限界まで開いているのに、何故か瞼の裏に焼き付くように別の景色が浮かび上がる。
真っ暗。
真っ暗な闇に浮かぶ、幾つもの顔。
叫ぶ顔。
罵声する顔。
咽ぶ顔。
幾つもの知らない顔が怨念のように脳裏に焼き付いて、私の頭を塗り潰していく。
──怒レ
──怒レ
──怒レ
やめて
知らない怒りが脳裏を塗り潰していく。
思考回路を焼き切られるような激しい怨念。
塗り潰されて目の前が真っ暗に閉ざされていく。
嫌だ
怖い
巨大な力に体を侵食される感覚。
頭の中を上書きされるような感覚。
漠然と悟った。
これは──"覚醒"だ。