My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
まるで身を起こすように、ぬっと私の背後で浮かび上がる影。
真上から私を覗くような、そんな姿で。
ぴくりとも動かなかったはずの白い両腕が、ゆっくりと伸ばされた。
背後から伸し掛かるような姿で、上から私の首に絡みつく二つの白い腕。
「…ッ…?」
予想もしなかった影の動きに、私は微動だにできず窓ガラスに映るその姿を凝視していた。
何、一体。
スゥ、と白い影が溶け込むように私の体を貫通する。
まるで実態のないホログラムか何かのように。
それによってにんまりと笑って裂けた口が、私の額に薄らと内部から浮かび上がって──
まるで聖痕のようにも見えた。
──ビキッ
刹那、額が"割れた"。