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My important place【D.Gray-man】

第39章 夢現Ⅲ



 手早く長い黒髪を一つに結ぶ姿を、ベッドに横になったままじーっと傍観。
 いつも思うけど、よくそんなサラサラの髪を髪紐なんかできちんと一つにまとめられるよね…手先器用だなぁ。

 …あ。
 あれ、私があげた髪紐だ。


「…ユウ」

「なんだ」

「……」

「?…なんだよ」

「…ううん。呼んだだけ」


 呼んだ意図は特にない。

 〝ユウ〟

 その名を噛み締める。

 ベッドに横になったままへらっと笑えば、怪訝な顔をしたものの何もツッコまれなかった。
 代わりに身を屈めてきたその唇が、前髪を掻き上げた額に触れる。

 …額の聖痕が消えてから、ここによく触れてくるんだよね…。
 気に掛けてくれてるのかな。


「…私も行こうかな」

「あ?」

「早朝トレーニング」


 いつもは見送ってたけど…なんだか、離れたくなくて。
 傍にいたくて。
 ぽつりと思ったことを口にすれば、まじまじと黒い目が私を見下ろした。


「行くって、付き合うつもりかよ」

「うん。駄目?」

「…やるなら全メニュー付き合わせるぞ」


 あ、駄目じゃないみたい。
 その言葉にいそいそと身を起こす。


「今日は任務日だし、いい体慣らしになるんじゃないかな」

「ほお」


 笑って軽い気持ちで言えば、腕組みして見下ろしてくる顔 が…あ、なんか嫌な予感する。


「じゃあ付き合えよ、全メニュー」

「…ちなみにそのメニューは…」

「腕立て・腹筋・上下素振り・前後正面素振り・斜め素振り・前後左右面素振り・開き足左右面素振り・三挙動素振り・一挙動素振り・跳躍素振り。各300回」


 まじでか。


「それと殺陣。やるなら俺と手合わせだからな」


 ま じ で か。

 それ下手したらなんか死ぬ気がする。
 というか早朝トレーニングってそんなに沢山時間取ってなかったよね?
 あの時間内にそのメニュー全部ぶっ込むの?

 ……。
 いやいや無理無理ほんと無理。

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