My important place【D.Gray-man】
第39章 夢現Ⅲ
──それに見てみるがいい
──あの者達の姿を、とくと
言われるがままにじっと見る
目を凝らす
眩い光が邪魔をして、よくは見えないけれど
段々と遠ざかる二人の手はしっかりと繋がれていて
お互いを見る口元には、確かな笑み
…なんだか、幸せそうな姿だった
──邪魔をしてやるでないよ
──あの者達にはあの者達の世界がある
──ワタシらとは相容れぬ世界だ
相容れない?
…世界が違うってこと?
──うむ
──御主には御主の生きる世界がある
──あ奴らとは違う世界だ
そうなの?
なんで?
──なんで?
──そんなもの、自分の姿を見てみれば一目瞭然じゃろう
自分の姿?
言われるままに見下ろす
黒い服を身に纏ったあの二人とは違う
まるで真逆に、真っ白な服
その一枚しか身に纏っていないキャミワンピースの下から覗く脚が──
「…え」
スカートから覗く脚
目の前に翳した手
それは見慣れたいつもの肌じゃなかった
褐色の浅黒い肌
「何…これ」
私、こんな肌色してたっけ
…違う
こんな色じゃなかったはず
──そうか?
──ワタシにはそれが御主の本来の姿に見えるがのう
「…ち…違…」
……違う
私、こんな肌色じゃない
これは私の体じゃない
これは私じゃない
──そうか?
──ならば御主の名はなんという
私の名前?
それくらいわかる
──ならば申してみよ
私の名前は──
「…ラ──」
"違う"
開きかけた口を閉じる
違う
それは
私の、名前じゃない