• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第39章 夢現Ⅲ



「なんもいねぇだろ。どんだけビビリなんだよ」


 再びしっかりとカーテンを閉め切ったユウが、呆れ顔のまま振り返る。


「そんな調子で、明日の任務遂行できんのか」


 う。


「…したくて怖がってる訳じゃないもん…」


 ビビリな性格は認めるけど、なりたくてなった訳じゃない。
 小さく口を尖らせて些細な抵抗だけする。

 私だって持てるなら、ユウみたいな度胸持ちたいよ。
 でもこればっかりは鍛えたら直るとか、そんな早々改善できるもんじゃないから。
 メンタルの問題です、メンタル。
 デリケートな問題なんです。


「もうビビってないよ。それより早く寝よう、明日はお互い任務だし」

「…おい」

「寝間着にユウのシャツ借りるよ、この棚の使っていいよね」

「おい、」

「着替えるからあっち向」

「思いっきりビビってんじゃねぇか」


 そんなことないから!
 だからもう掘り返すのはやめよう、変にビクついたのは謝るから!


「…わかり易い奴」


 ぶんぶんと首を横に振れば、肩を落として溜息をつきながら、ユウが歩み寄ってくる。
 そのまま伸びた手は私の後頭部に添えられて、ぽすんと胸に引き寄せられた。


「今は仕事中じゃねぇし、痩せ我慢する必要ねぇだろ」


 そのままわしわしと雑に頭を撫でられる。
 呆れた様子は未だ残ってたけど、これって…ユウなりにあやしてくれてるのかな。


「…でも呆れた顔するじゃん…」

「何もいない窓なんざ見てビビってたらな」

「……」


 そこは言い返す言葉ないけどさ。

 呆れた口調は相変わらずだったけど、その体に触れていると自然と落ち着いた。
 そのまま身を預けるように傾ければ、ぽんぽんと頭をあやす手が優しくなる。

 言い方は雑なこと多いし、甘さなんてないことも多いけど。不器用にでもこういう優しさを見せてくれるから。
 そういうものに触れると…まだ少し火照っていた体の奥が、じんとした気がした。


 ……。
 ……今日はユウじゃなく、私が我慢しなきゃならない夜になりそうかも。











/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp