第39章 夢現Ⅲ

　そんな思考を振り払うように、目の前の男根に意識を集中させる。
　臭いと味のパンチで思わず顔は顰めちゃったけど、口の中でヒクつく反応は可愛いなぁと思えた。

　ユウ自身の先走りと、私の唾液が入り混じってじゅぷじゅぷと音を立てる。
　卑猥な音は耳にしていると恥ずかしいけど、同時に体を熱くさせた。

　顎が疲れてきたなぁ、なんて思いながら扱く手を速めれば、


「ッ…！」

「んぷっ」


　急に両肩を掴まれて、勢いよく引き剥がされた。
　ちゅぽっと咥えていた男根が抜ける。

　あ。


「なん──」

「もういい」

「へ？」

「それ以上やると、出る。…から、もういい」


　はぁっと熱い息を吐くユウの顔は、はっきりとわかるくらい上気していた。
　欲に色付いた感じてる顔。
　そんなふうにさせたのは私なんだと思うと……なんか、可愛いんですけど…。

　まさかユウ相手に可愛いだなんて思う日がくるとは。
　明日は雨じゃなく槍でも降るかも。
　でも本当に可愛いって思っちゃったんです致し方ない。
　これは無駄なパーツ一つないユウの顔が悪い。

　…や、顔の問題じゃないんだけどね。


「でも、まだイってないし…」

「…つか、なんでそんな手慣れてんだよ」

「何も慣れてないけど」


　濡れた口元を拭いながら、ユウの言葉に思わず首を横に振る。

　どこが。
　今ので精一杯だったんですけど。


「初めてしたし」

「初めてにしちゃ躊躇なさ過ぎだろ」

「……だってユウのだし」


　臭いも味も触感も、決して良いとは言えない。
　寧ろ悪いと思う。
　それでも止める気なんて起きなかったのは、"想い"が勝ったから。

　ぽそりと呟いた言葉はちゃんと届いていたみたいだけど、ユウの反応はなかった。
　というか黙り込んだ。

　…あ、目を逸らされた。
　………もしかして照れてる？