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My important place【D.Gray-man】

第8章 黒の教団壊滅事件Ⅱ.



『ありがとう。あの時、何度も神田に助けられたから…感謝してる』


 優しく、敬意のある声。
 これがリナリーの声じゃないとしたら、誰なんだろう。
 そう思えるくらい親身に感じるものだった。


「……」


 それは恐らく神田も一緒だったんだろう。
 黙り込んだまま、考え込むようにじっとドアを見つめていた。

 きっとリナリーが言ったことは真実なんだ。

 二人の間には幼い頃の出会いがあって、今まで培ってきた絆みたいなものがある。
 …確かにリナリー相手だと神田も幾分、口調が柔らかくなっていた気がするし。
 何よりあの手の早い神田がリナリーを叩くところなんて、一度も見たことがない。
 私にはスパスパ、餅つき並みに叩いてくるのに。

 ……。

 …うん…なんだろう、この…月とスッポンの差は。
 甘んじて神田の平手打ちは受けてるけどさ…うん。

 なんか、ちょっと凹む。


「…お前一人か」

『うん』

「周りに、感染した人間は」

『いないよ』


 神田の問いかけに、私は思わずラビと顔を見合わせた。

 どうやら神田は声の主をリナリーと認めたらしい。
 それだけ信用ある言葉なんだ、リナリーの言葉は。

 なんだかんだ周りと距離を置いていても、神田はちゃんと此処で人との関係を築いている。
 それに比べて私は…そんなふうに言える仲間が、果たしているのか。


「……」


 そんなふうに思ってくれる仲間はいるのか。
 そう思うと即答できない自分がいた。


 ガチャン、


 ドアの開く音。




 ──ズキ、




「──っ、」


 暗くなる思考にまるで連動するかのように、額の傷が傷んで思わず手で押さえる。

 その時だった。




「ユウ…ッ!」




 焦ったような、ラビの声が響いたのは。

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