• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第8章 黒の教団壊滅事件Ⅱ.



「そういや前に、此処で出るって話をジョニー達に聞いたなって」


 ……出るって、何が。


「前は此処、実験室だったみたいでさ。実験中に亡くなった人が──」

「はい、もういいです」


 案の定嫌な話をし出すラビに、全て聞き終える前に言葉を被せる。

 ただでさえこんなバイオハザードな状態なのに。
 そういう怖い話しないで下さい。


「んだよ。霊だのなんだの、ふざけた話かよ」

「そういう話、今しなくてもいいでしょ。関係ないでしょ」


 呆れた顔の神田と一緒に否定する。
 やめて下さい、こんな時にそんな話。


「偶々思い出しただけさ。オレだって怖ぇんだし」


 心外だとばかりに首を横に振って、ラビが恐々と辺りを見渡す。


「…だからさ、逃げ込むなら別の部屋にしねぇ?」


 …うん。その気持ちは、わからなくもない。

 でも外には先程追ってきた亡者の群が、まだ近くにいるはず。
 簡単に移動できないことは目に見えて明らかだった。


「幽霊なんかにビビってんじゃねぇよ。そんなの戯言だ」

「ユウのその男らしい一面は、ありがたいけどさ…怖いもんは怖いんだって」


 小さな体を更に縮めて、私の隣に座り込むラビを見る。
 幽霊だの心霊だの、そういう話をすると怖がりなラビとアレンは聞かないようにいつも話から外れようとする。
 だから自分からそういう話を持ち出すラビは、少し意外だった。


「どうしたの、怖い夢でも見たの」

「…雪、子供扱いしてねぇさ?」

「してないしてない」


 伺うように首を傾げて見れば、小さな体のラビがこちらを向く。
 その視線は躊躇するように辺りを彷徨って、それから恐々とこちらを見た。


「……実はさ、なんか…変な声、聞いた気がして」

「…は?」


 その姿は本当に子供みたいだったけど。
 話の内容が内容なだけに、私の意識は全部そっちへ持っていかれてしまった。

/ 2638ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp