My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
―6月4日―
「神田の好きなもの?」
「うん」
本人からは情報は得られないと、身をもって実感した昨日。
本人が駄目なら本人に身近な人が妥当だと、内勤の仕事の合間を縫ってその人物を捕まえた。
「好きなものねー…おそ」
「お蕎麦以外で」
予想通りの返答を重ねて止めれば、その人物が大きな目をぱちりと瞬く。
「…それ以外に何かあったかな」
「……ないの?」
「うーん…そうね…」
難しそうに頭を捻るその美少女は、ユウの幼馴染であるリナリー。
幼い頃からつき合いのあるリナリーなら、何か知ってるかと踏んだんだけど…。
幼馴染でさえもユウの好きなものは謎なのか。
これじゃお手上げかもしれない。
「あ。物じゃないけど、好きな色ならわかるわよ」
「色?」
ぱっと思い付いたように笑みを浮かべるリナリーに、思わず身を乗り出す。
ユウの好きな色?
それって初耳。
「赤よ、赤」
「……へー…」
…それ以外のリアクションが取り難かった。
赤なんだ…なんとなく黒とか青とか、暗い色のイメージがあったけど…。
確かに髪紐は赤系統の色多いし、六幻の柄や飾り紐も真紅だったっけ。
……そういえば預かってる数珠も臙脂色だ。
成程、確かに。
「だから何かあげるなら、赤色のものがいいんじゃないかな?」
「そっか、ありが…ってなんでわかったの」
プレゼントするって。
「あら。わかるわよ、それくらい」
思わずリナリーを凝視すれば、にっこりと綺麗な笑みで返されただけだった。
…こういうところ、リナリーもジェリーさんと一緒かもしれない。
とりあえず良い情報貰ったし、明日は仕事を早めに終わらせて買い物に行こうかな。