My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「趣味なんてねぇよ。一緒にいるならわかるだろ」
「……」
確かに今日はお互いに休みだったから、朝から一緒にいた。
今日一日のユウの行動を振り返ってみれば…
・早朝筋トレの後に朝食
・素振りと精神統一を終えて昼食
・組み手を交えた後にシャワーを浴びる
・自室に戻って六幻の手入れ(←今ここ)
「……」
…うん。
趣味は最早肉体改造ですね。
「…好きな小物とか」
「ない」
「…好きな音楽とか」
「ない」
「…好きな」
「ない」
「いやまだ何も言ってないから」
そんなすっぱり一刀両断しないで下さい。
「何もないの? 好きなもの」
思わず脱力気味に問いかける。
あ、蕎麦以外でお願いします。
すると再びユウの顔が上がって私を見たかと思えば、六幻の切っ先を私に──…危な!
「き、斬れるっ!」
「お前」
「はっ?」
「だから、お前」
真っ直ぐに六幻で私を示したユウの口から零れたのは、私を示す言葉。
私って……いやいや。
人を刃で指し示すのはやめましょう危ない。
…………って、
「……」
「何固まってんだよ。ちゃんと答えただろ」
「……人物以外でお願いします」
いきなりそういうこと言わないで下さい。
…照れるから。
「じゃあ別にない」
埃一つなく綺麗に手入れされた六幻の刃を、静かに鞘に戻してベッドに立て掛けながら、その黒い目が再び私を見る。
「雪、」
「……」
名前しか呼ばれてないけど、なんとなくわかる。
多くを語らないユウだから、その分目線や仕草でなんとなく意図を理解するように私もなった。
…多分、来いって呼んでる。