My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
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「甘くないケーキ?」
「はい。できますか?」
「それなら甘さ控えめなチーズケーキとか、お勧めだけどん」
「いえっ本当に甘くないケーキがいいんです」
その日の夕方、こっそり食堂の厨房にお邪魔してジェリーさんにケーキのことを頼んでみた。
雑誌を見せて首を横に振れば、同じく雑誌を覗き込んだジェリーさんが、ううーんっと考えるように首を捻る。
「ならケークサレとかどうかしら」
「…ケー腐れ?」
「文字が違うわ雪ちゃん。ケークサレよ、ケークサレ」
え、なんで文字違いってわかるんですか。
「いやね、乙女心はアタシには一発で透視できるんだから♪」
って心の中まで読まないで下さい怖い。
「ほらほら、そんなことより。愛しの彼へのプレゼントでしょ?」
ってバレてる!
「だからわかるって言ってんでしょーが。とにかくケークサレならキッシュに似た料理だから、甘くないケーキとして渡せるわよ」
「…はぁ」
もう面倒だから、素直にその言葉を聞くことにした。
…ジェリーさんって色々謎な人だ。
「どんな材料も大概合うし。見た目も材料次第で華やかになるし可愛いわよ」
「…それ、蝋燭立てられます?」
「蝋燭?」
そこがやっぱり重要。
あの私が憧れた誕生日のケーキの形にして、お祝いしてあげたいから。
「まぁ、ケーキホールの形に焼けば様になるんじゃないかしら…」
「じゃあそれでお願いしますっ」
ジェリーさんの腕前なら、味は絶対美味しいだろうし。
深々と頭を下げれば、ぽんと肩に手を置かれた。
「あらん、駄目よ雪ちゃん。折角のプレゼントなら自分で作らないと♪」
「………え。」
思わず顔を上げれば、にーっこりと満面の笑みを浮かべるジェリーさんが其処にいた。
「日付もそうないし、明日から時間が空いたら此処に来なさいな。美味しいレシピを伝授してあげるから」
「…まじですか」
「まぢです♡」
自分で作るって…上手くできなかったらどうしよう…。
ケー腐…じゃない、ケークサレなんて作ったことないし。
自信ないなぁ。