My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
―6月2日―
誕生日といって真っ先に思いつくのはケーキ。
これは必需品だと思う。
だけど。
「…甘いもの駄目だったよね…確か」
食堂の隅っこで早めの朝食を取りながら、目の前の雑誌と睨めっこをする。
ケーキ特集の雑誌には様々な種類のケーキが掲載されていて、その中には勿論甘さ控えめのものもあった。
「ビターチョコで甘いって顔顰めてたし…」
どうしよ…多分どれもユウの口には合わないんじゃないかな…。
「ジェリーさんに頼んで、特注のもの作ってもらおうかな…」
「作るって何を」
「うん、ケー………バブ?」
「は?」
後ろから聞こえた問いかけについ答えそうになって。咄嗟に言葉を変えて、同時にばしんっと勢いよく雑誌を閉じて抱え込む。
ギギ、と首だけ恐る恐る振り返れば、案の定。
「なんだよ、ケーバブって。そんな料理あるか」
「…ケバブです」
訝しげに眉を潜めたユウが、その場に立っていた。
「あ。今日の朝ご飯は蕎麦なんだね。やっぱり似合うねお蕎麦っ」
その手の朝ご飯メニューを見つつ、早々と食べ終えた料理のトレイを持って席を立つ。
「…おい、」
「私もう食べ終えたから。此処使っていいよ」
「おい、雪」
「仕事あるから行かなきゃ。じゃあね」
「待っ…おい!」
「仕事立て込んでるんです!」
ユウの呼び掛けには応えず、足早に手を振ってその場を去る。
胸に抱いた雑誌は見えないように背中を向けて。
危ない危ない。
見つかったらバレる。
バレたら多分、必要ないって断ってくるだろうし…
これはこっそり準備しないと。