• テキストサイズ

My important place【D.Gray-man】

第35章 抱擁



「それに普通だなんだ言うなら、俺だって普通じゃねぇだろ」

「それは…まぁ…」


 そうなんだけど。
 だからそういうことじゃなくて、


「大体"普通"ってなんだ。そんな枠組み、人によって違うだろうが」


 うん、その通りなんだけど。
 神田の言ってることは的を得てるけど。

 …そうじゃなくて。


「だから…その、」


 呆れた様子で言ってくる神田との雰囲気が、砕けたものだったからか。
 さっきの迷いなき神田の言葉に、背中を押されてしまったからなのか。

 わからない。





「…私、が」





 わからないけど、一つだけはっきりしていたことはあった。










「……教団側の…人間じゃ、なくても」










 言ったら後悔すること。










 "ノア"という言葉は流石に喉奥でつっかえて、出せなかった。
 それでもこんなこと、言う気はなかったのに。

 自分の中でも不確定要素だらけで、しっかり伝えられるはずもないのに。
 そんな状態で零したって、どうにもならない。

 神田に迷惑をかけるだけ。
 そんなこと、わかってたのに。










 どうしようもなく、温かいものに

 触れてしまったからなのかもしれない。

/ 2655ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp